「研究は呼吸」と言い切るほど、研究が大好きなさっちゃん。
今でこそ、遠距離結婚・仕事・趣味のサーフィンまで、好きなことをすべて実現しているように見えます。でも、その裏では「記憶がなくなるくらい」悩み抜いた時期も。
自分らしく、ハッピーな暮らしに辿り着くまでの変遷を聞きました。
インタビュー前編は → こちら
ー 今は、岡山での仕事を選んだわけだけど…。岡山の他にも、九州の大学でのオファーをもらってたよね。どうして岡山をあえて選んだの?
実は、どちらにするか悩みすぎて、その時の記憶がないくらいなんですけど…
任期のことが大きな理由のひとつです。岡山と九州の仕事はどちらも魅力的で、だからこそとても悩んだんですが…。どちらも任期のあるものだったんですが、岡山の方が任期が長かったんです。
私たちの分野では、1つのことを研究してその成果を見届けるには長い時間がかかるんです。少なくとも数年単位で、時には10年以上の年月をかけないと得たい成果に辿り着けないこともあります。
ー 結果が出るまでに気の遠くなるような時間がかかるんだね。私が昔いたファッション業界は半年ごとに変わる世界だったから、時間の違いに驚き。さっちゃんの業界は時間の流れが全然違うね。
そうなんです。「ポスドク問題」と言われているくらい、大学教員の職はとても不安定でもあって。
在職中に業績を上げられなければ、任期切れとともに仕事を失うことも少なくありません。
さらに、今いる人が抜けないとポストが空かないし、業務内容に制限があったりと条件が本当に色々と違います。
だから、自分のタイミングでいいポジションが空いているとも限らないし、今の研究内容を引き継げる仕事かどうかも分からない。
ー 任期があるということは、時間のかかる研究を続けながら、同時に仕事を失うかもしれないプレッシャーがあるんだね。
私はこだわりが強くて、本当にやりたいことは妥協したくないタイプ。
だから悩みに悩んだんですけど、任期が長い方が、まずは気持ちが安定するだろうと考えました。そして安定した気持ちで、自分がやりたい研究を続けられると思い、岡山での仕事を選ぶことにしたんです。
ー なるほど!さっちゃんの時間に対する考えがよくわかったよ。
岡山と宮崎って、なかなか通いづらい遠距離になると思うんだけど、旦那さんとの関係は心配になったりしなかったの?
そうですね、勿論とても不安になりました。岡山を選ぶのは夫婦としても大きな挑戦だったので、本当に落ち込むレベルで不安に…(笑)
最終的な決め手は「結婚はいつどうなるか分からないけど、自分とは一生向き合わないといけない。だから、まずは自分の信念を大切に」という思いでした。
というのも、私はあまり妥協ができるタイプではなくて。自分で納得しないと結局後悔してしまいうまく前に進めなくなってしまうんです。夫には「こだわりが強い」とウザがられますけど(笑)
「この選択は失敗だったかもしれない」という心境になった時に、後で人のせいにしたくないという気持ちが強くて。
なので、本当の意味で彼との関係を大切にするためにも、岡山を選びました。
研究の息抜きにスケボーもしてた。さっちゃんの金髪、大学院生時代。
Photo by @nishijima.h.a
ー 岡山を選んだ時に旦那さんはなんて言ってたの?
彼は、私が「研究」よりも「夫婦としてありたい姿」を優先したら後悔するだろうというのを一番よくわかってくれていて。
だから逆に「夫婦の住む場所の距離を優先したために、サチに後悔されるのはしんどいな」って反応でした(笑)
「後悔するなら、自分の好きなことを選んで進んで行って欲しい」と彼は背中を押してくれたんです。
ー 研究が大好きな奥さんに、理解のある旦那さん!以前から「心の広い人だな」とは薄々思ってたけど、改めて、働く女性に頼もしい理解者だね☺️👍
彼もそういう私のことをよく理解してくれているので、応援してくれています。
家族のこともすごい大事だし、優先したい気持ちも強いんですけど…
その家族も、私がこういう性格だから、自分を曲げた選択をしてもハッピーにならないのをよく分かってくれてるんですよね。
私の周りは、私の性格をよく理解してくれる人が多くて。私がハッピーじゃないのは周りの人にすぐ分かっちゃうから、周りも嬉しくないと思っていて。
「自分で決めた選択がベストチョイスだった」って思いたいし、それが周りにとっても自分にとってもいいなって思うから、妥協しないようにしてます。
ー すごい😳‼️ 特に日本の女性って「〜すべき」が多くて、誰かに合わせたりしがちだと思うんだけど、さっちゃんは芯が強いね。自分の周りに応援してくれている人を増やすコツとかあるの?
周りをリスペクトしつつも、自分の中では大きな妥協はせずに、ある程度「聞き流す」「流されない」ということでしょうか。
自分とは一生向き合わなければいけないから、ある程度、「私は私」と選択してきました。だからこそ、相手のこともリスペクトできるし自分のも応援してもらえるなって思ってます。
少し怖くても、選ばないということもたまには大事かなと。1回やっちゃえば、意外と怖くないんですよ。
そうすると、気づいたら周りに、私の事を理解して応援してくださる人が増えた気がします!
ー たしかに、いつもさっちゃんは自分のこだわりには妥協しないけど、リスペクトを持って相手に接してるなーって感じるよ。その考えはどこから来たの?
周りの人でしょうか。
周りにも楽しく仕事をしていそうな素敵な友人や先生方が多いんですよね。仕事も趣味だったり、趣味が仕事になったような…
底知れぬエネルギーがあって、「収入が高くなくても面白いことができていれば」という人たちにも大学院生時代にたくさん出会いました。
でもそんな人たちも「充実していそうに見える裏では苦労もたくさんあるんだろうな」と思い、いつもリスペクトの気持ちを持っています。
最低限食べていければ大丈夫、まずはやってみてダメだったらその時考えればいいかなという思いは強いですね。
「自分が納得して後悔しない選択をしていれば、何とかなる気がするし、きっとハッピーでしょう」って思ってます!
ちょっとくらいこけても、なんとかなる。
Photo by @shimaponshima3
ー そういう時は不安になったりしない?
実は、大学院に行こうか迷った時も、周りの人に「そんなに時間と学費をかけて、どうするの」とか「博士号を取ったからといって就職できるとも限らない」と止められたこともあったんです。
両親も「博士号まで取りに行くなら、生活費は自分の力でなんとかしてね」という人だったし。
それで奨学金を借りて、大学院でPh.Dを取りました。
そこで彼にも出会ったし…。
結果、大学院に行ってよかったです!(笑)
あとは最初に反対していた人でも、やり切ったら認めてくれる人もいる気はしますね。
そういう実感があるので、ある程度「大事なことは自分の直感を信じて、選択する」ってことも大切なんじゃないかなって思います。そうすることで、挑戦しなかったことや失敗したことを後で誰かのせいにせずにすみますし…
ー 素敵な関係だね🥰 これからはどんな夫婦を目指してるの?
お互いのことをリスペクトして、応援しあっている夫婦です!
もしお互いにとって今より良い選択肢があったら、一緒の場所に住むのもいいねって言ってます。
でもそれ以外は、大きな妥協をして同じ場所に住もうとかはないですね!!(キッパリ)
だから、お互いに今いる場所でがむしゃらに自分たちの実力を磨いている状況ですよ。次、どのタイミングで来るかわからないチャンスがきたら、それを逃さないように。
チャンスが来たら逃さないように、以前よりも多くのプロジェクトや勉強をしているので、毎日時間が足りないのが悩みです。
今後もし大変な時があっても、お互いのことを尊重しながら力をあわせてやっていける夫婦になれたらいいなと思ってます。
サーフィンは夫婦共通の趣味で、一緒に宮崎の海にいくのも楽しみのひとつ。
Photo by @connect.moon
ハードな研究生活のかたわら、サーフィンが大好きなさっちゃん。少しの隙を見つけては、学会の後に1時間半かけて海に波チェックに来るほどの情熱の持ち主です。
もし海で見かけたら、いい波がある場所をこっそり教えてあげてください😊🌊
Photo provided by @nishijima.h.a, @shimaponshima3, @connect.moon (掲載順)
Text by Natsuko
インタビュー前編は → こちら
1件のコメント
私も最近結婚したのですが別々に生活してて。
周りからは「え?」っていう目で見られておますが
「何でダメなのかな~」と思ってて…
そんなときに、さっちゃんさんのインタビューを見て
周りがどう思おうが自分がそうしたかったり
旦那さんときちんと向き合ってお話しして
お互い理解しあったのなら全然ありだし
今の私も肯定してもらえた気がしました!
一度しかない人生を思いっきり謳歌しているさっちゃんさんに
とっても尊敬したし私もそうでありたいと思いました!
同年代で共感する部分もめちゃくちゃあって
何度もインタビュー読みました!
ありがとうございました😌💓