穏やかな空気が流れるケンくんのカレー屋さん、RUBY MURRAY(ルビー・マーレー)。
カレーはこだわりたっぷりだけど、お店はいたってチルでご機嫌な感じです🥳🍛
人気メニューのビリヤニ🤤
「体の7割はカレーでできている」というほどスパイスカレーが好きなケンくんが、ついに長年の夢だった自分のお店を世田谷の松蔭神社にオープンしました。
いつも目の前のカレーを作ることに一生懸命なケンくん。
インドカレーの有名店で働いていたことや、若いうちから店長経験があることも普段は自分からそんなに話さない。
私も知り合って暫くしてから、なんとなく話の流れで知ったくらいで、、
というわけで、独自のこだわりへの想いとかカレー好きな皆さんがきっと知りたいと思うことも、代わりに聞いておきました☺️💬
職業:カレーショップ RUBY MURRAY 店主
年齢:39歳
出身地とその後:富山 → 下北沢の友人宅とか → ずっと都内
仕事歴:ちょっと美容師 → ネパール人も働く下北沢の飲食店でカレーに出会う。流れで21歳で店長に → 飲食いろいろ10年くらい → 南インドカレーの先駆け エリックサウスで店長 → 独立
お店の自慢:インド直輸入のタンドール窯(インド式な儀式済み🙏)
主なメニュー:本格スパイス好き 〜 子ども🐥まで食べられるインドカレー
ー ケンくん、今日はどうもありがとう☺️‼️いきなり素朴な疑問だけど、何でそんなにカレーが好きなの?
うーん、なんだろう。1番自分らしさが出せるからかもしれません。
例えば、和食とか別のジャンルの料理だと僕らしさは出せない気がするんですよね…。カレーなら全体に対しての油、にんにく、しょうがの量とか、そういうバランスを通じて自分が思う美味しさを表現できる楽しみがあるような気がします。
それで、自分で作ったものに人が来てくれるのがカレーだったのかも。
今でも理由はよくわからないんですが、毎日食べられるくらいカレーは好きです。
ー 2020年、コロナ禍真っ最中に恵比寿のIGAOでランチタイムのみの間借りカレー屋さんとしてRUBY MURRAYをスタート。なぜこの時期に?
友人の結婚式でIGAOのオーナー、イサオさんと偶然再会して。そこで間借りのお誘いをいただいたのがきっかけです。
IGAOのお店を改めて下見に行ったら、なんとなく「いけるだろう🔥」という根拠のない自信が湧いてきて、スタートを決めました。
まぁ、その根拠のない自信は2~3ヶ月で消えたんですけど(笑)
以前間借りをしていたIGAOさん。楽しげな店構え🥳
間借りとはいえ、初めは「どうしよう…😰」と心配になるくらい暇な日もありました。駅から離れた立地で、さらにコロナ禍で人通りは減っているし。カレー屋があると気づかない人も多かった。どうすればいいか、けっこう悩みました。
独立前に働いていたお店はよく知られていたから、こちらから情報発信をしなくてもお客さんが十分来ていたので、僕はSNSが不慣れで。
だから、開店当初は誰かがInstagramのストーリーズにうちのことを投稿してくれただけで「やばい。明日、お客さんがたくさん来ちゃったらどうしよう」とか本気で思ってましたね。実際はそんなに甘くなかったんですけど(笑)
ー 😂‼️ そこからどうやって3年4ヶ月もお店を続けたの?
もう地道にコツコツです。
職場が近くの方がぽつりと来て、その方が同僚をたくさん連れて来店されたり。通りがかりで知ってくださった方もいます。オープン当初からずっと通ってくださるお客さんも沢山いるんですよ。
カレー界で影響力のある方も定期的に通ってくださるようになり、そうした方のSNS投稿からうちの店を知る人も増えました。
お客さんが広がるまで少し時間はかかったけど、SNSでのバズりに頼ったわけではないのでバブルは弾けない。お店としては地に足がついていて、理想的に広がったと今は思えますね。
ー 独立前に他店でコツコツと磨いてきた料理の腕もあるし、ケンくんのカレーは実力派。着々と常連さんも増えてきて、慣れた場所を離れると決めるまでに色々と考えたと思うけど。それでも自分のお店を開きたいという夢を諦めなかった理由は?
自分のお店を持ちたいというのは、飲食に携わるようになってからの長年の夢で。10年くらいずっと思っていたんです。
当初は何のお店をやるのか決めていなかったんですけど。
ー 夢の実現、改めておめでとうございます🥳㊗️
ところで、RUBY MURRAYという名前の由来は?
イギリスでカレーがRUBY MURRAYと呼ばれているところから名づけました。
イギリスはインドとのつながりも深いのと、パブ文化があるのがいいなと思って。僕もパブみたいなお店を作りたかったんですよね。
僕自身がお酒も好きだし、人が集まれば友達も増えるという酒場としての場所も好きだし。
カレーを食べておしまいというよりは、人が集まる場所としてのカレー屋を作りたいなと思って。
ちなみにお酒はビールが1番好きですね。もちろんお店にもしっかり揃えてます🍻
ー 10年越しの夢を叶えてついにオープンした松陰神社のお店。これからどんな感じにしたい?
「何も考えずに来れる店」が理想ですね。
ー え😳⁉️ 「何も考えない😪」ってどういうこと?
「なにか食べたいなぁ」「どのお店に行こう」と思うけどアイディアが出なかったり、迷った時とか。そんな時に「RUBY MURRAYに行こう!」と思ってもらえる存在になりたいなと。
ー たしかに、私もRUBY MURRAYに行く時は何も考えてなかった(笑)。「おなかすいたな〜」くらいで。何も考えないって、日常に溶け込むフレンドリーな存在になりたいということ?
そうですね。日常に溶け込めば、カレー食べに行こうじゃなくて「あの人のお店に行こう」と思ってもらえる。それがいいのかなと。
今後は新しいメニューも増やすので、毎回新しい発見がある場所にしたいですね。
気張らずに、何も考えずに来て欲しいです。
何も考えずにどうぞ😊🍛
ー 「何も考えない😪」を前面に出しているお店はなかなかないから、ケンくんの個性でいいね〜。こだわりのインドカレー屋さんは入店ルールがややこしいことも少なからずあって、行くのに気合いが必要だったり。そんな中、何も考えずに行けるお店はありがたい存在(笑)。ある意味、カレーが日常食のインドのマインドセットに近いのかも。
RUBY MURRAYのカレー作りでのこだわりはどんなこと?
もともと「毎日食べれるような、体にいいものを提供したい」という想いがあって。 でもインド料理って、現地のレシピだと油で胃がもたれたり、日本人が日常的に食べるにはハードな時もあるんです。
インドカレーの世界では「南インド」とか「北インド」とか流派が色々ありますが、僕は「美味しい」と思ったものをお客様に出したい。だから、南とか北の垣根を越えたメニューも考えています。
例えば、ポロタの形をしたナンをタンドール窯で焼いて出したいなと思っていて。ナンは北インドのものですが、ポロタは南インドのレシピでクロワッサンのように軽いんです。
ー ポロタも美味しそう…🤤 ケンくんにとっての美味しさとは?
一口食べた瞬間を大事にしています。一口食べて「うま!!🤩」となったらテンションが上がると思うんです。そしてそれがしばらく続く。
毎日でも食べられるような体にいいもので、気分が上がる食べ物を提供することを昔から大切にしてますね。
インドなタコライス🌮というオリジナルメニューを作ったことも
ー 気分が上がるカレー 🥳🎶
ちなみにRUBY MURRAYのインスピレーションになっているのは?
身近で尊敬できる人たちですね…。
いろんな人たちのおかげで今があるんですが、例えば、スリマンガラムのインド人シェフ、マハさん。
*スリマンガラムは、首都圏のカレーマニアなら一度は聞いたことがあるであろう本格派インド料理店。実力派シェフのマハさんのカレーを求めてカレー通が集まることでも有名で、店内ではお客さんの多くが手でカレーを食べているのも印象的。
マハさんには色々なことを教わりました。
特に印象に残っているのは、「仕事に来たら頭を空にしてお客さんだけを見ろ」という言葉。
暇でも忙しくても、飲食業はお客さんありきで成り立っている。だからたとえ暇でも、ひとりひとりのお客さんとちゃんと接していたらその人がまた来てくれるから、と。
あとは、「毎日、朝シャンするように」とか「キッチンに立って火をつける前にお祈りしてください」とかインドのカルチャーと通じる教えもありました。
なかでもお客さんへの向き合い方については、マハさんが教えてくれたことはだいたい理にかなってる。
だから僕もマハさんの教えをちゃんと守って、カレーを作っています。教わったインド式のお祈りも覚えていますよ。
ー 何がきっかけでマハさんにカレー作りを教わるように?
たまたまなのかもしれないですけど。
元同僚の紹介がきっかけで、スリマンガラムに通うようになって。
初めはあまり話す機会もなかったんですが、気づいたらインド人の輪に入っていました。
あとは、彼らが困ったことがあれば何でもしてあげたのもあるかも。日本語のヘルプやピザパーティーしたいとなれば僕がバイトしていたピザ屋さんでピザをたくさん買って行ったり。
やりたいことを応援して、僕ができることで応えていった感じですかね。
ー それを聞いて、 私がsiesta magazineのインスタを立ち上げた時にケンくんが真っ先にお店と個人のアカウント両方でフォローしてくれたのを思い出した。まだフォロワー数人とかの時(笑)。始めたてで誰が見てくれるのか不安もあったから、そんな時の応援が嬉しくてすごく印象に残ってる。マハさんたちも、きっと私と同じような気持ちを感じているんだろうなぁと。
今は一線を超えて仲良くなっている感じですね。それまでに、お互い色々助け合ったのが何年間か続いたから…というのもあるかも。僕にとってはインド人シェフに交じって修行をさせてもらえる機会だったし、気づいたら今のような関係も生まれていました。
今回、お店のオープンに合わせてタンドール窯も準備したんですが、マハさんがインドの本格タンドール窯の仕入れを手伝ってくれました。
インド直輸入、自慢のタンドール窯☺️🇮🇳
ー タンドール窯ってこんな形してるんだね〜。どう使うのかも気になる…。
タンドール窯は使う前に、窯の中をコーティングしなきゃいけないみたいでインドの人しか正式なやり方がわからないんです。
マハさんに教えてもらいながら、ほうれん草とマスタードシードなど秘伝のレシピでできたペーストを塗ったり拭き取ったり、インド式の儀式も色々やりました。
ー 最後に、インドカレーはケンくんにとって何でしょう?
僕の気分をあげてくれるものですね。見たことない料理もたくさんあるし、ワクワクしながら食べれらるもの。
一見つながりがなさそうですが、僕はこれまでの人の縁的なものでインドカレーを作っている気がするので、新しいお店でも大事にしていきたいですね。
ー 気分があがるカレー 🥳 ワクワクしながら作ってるカレー、食べる方もワクワクします☺️🍛
新しいお店では、ケンくんの友人でアーティストの Jeremy がお店の壁に絵も描いてくれた🎨✨
この記事には書ききれなかったけれど、他にも色んな仲間に囲まれて、今後の展開が楽しみなRUBY MURRAY。とりあえず何も考えずに行ってみてね。
カレーショップ RUBY MURRAY
東京都世田谷区世田谷4-6-12 松蔭スクエア2F
TEL: 070-9172-0774
Instagram @rubymurray_curryshop
営業時間:11~15時 (L.O.14:30) / 18~23時 (FOOD L.O. 21:30)
定休日:不定休
お休みはInstagram 見てね。
*子どもも食べれる、辛くないカレーもあります🐣
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Photos by RUBY MURRAY, Natsuko
Interviewed by Natsuko