English version here
Jesseと出会ったのは14年前、夜の渋谷(笑)
共通の友人に連れられ自己紹介してきたJesseは
熱心に「本を読むのが好き」と私に言った。
…??? 🤷♀️ 🤷♀️ 🤷♀️
Jesseのなんか強そうな見た目と、夜の渋谷🌛✨というシチュエーション、
フロアにガンガン鳴り響くHipHopの音楽と 「読書 📖」 があまりに噛み合わなさすぎて
大きなはてなマークが沢山浮かんだのを今でも覚えてる。笑
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その14年後、24歳だったJesseは38歳になり
読書だけだったJesseらしさは、写真や生花、そしてアートになった。
…というわけで、今回は表現を続けるJesseにインタビューしたよ。
Jesse Freeman(ジェシー・フリーマン)
職業:ビジュアル・アーティスト & ライター
年齢:38歳
出身地とその後:(覚えてないけどイギリス生まれ🐣)→ アメリカのボルチモア → ハワイ🌺 → 東京 → スウェーデン → 一旦、アメリカ → 東京
現在の住まい:東京
愛犬:HARA と Koko
ー この前は、原宿のUltraSuperNew Galleryでの個展おめでとう!
個展 "I am I be" を通じて伝えたかったメッセージは何?
今の自分。
アメリカから日本に戻ってきた後、人生に色々な問題が起きたりして
箱の中にいるような、身動きがとれないような気持ちになってたんだよね。
そういう気持ちを整理して、前に進みたいなと思って作品を作った。
自分のツラさを人にわかって欲しくて。
人は痛みから学ぶと思うんだよね。
ー あの個展のオープニングはすごい人で賑わってたよね。てか、今回に限らずJesseの展示はいつもたくさんの友達で賑わってる印象があるけど、これって誰でも毎回できることじゃない。
Jesseを支持してくれる友達が多いのはなんで?
わからない(笑)
多分、興味の対象が多いからかな。写真とか生花とか活動の範囲が広いから?
自分でもよく分からないんだけど、僕は他の人と違うから気になるのかもね。
キルトや生花やってるとか、ボルチモア出身とか。ステレオタイプにはまってないし、みんなと違って意外だから興味を惹くのかも。
ー Jesseにとって友達とは?
素晴らしい経験を運んできてくれる。これは絶対。
例えば、カメラをくれた親友のAlaniとか、今日ここに連れてきてくれた友達とか。
友達は僕に新しい世界を紹介してくれるし、その経験から学ぶこともできる。
流れに任せるタイプだから、やって来たチャンスには乗ることが多いよ。
僕にとっての友達は人生の証明でもあるし、信頼できる存在。
岩手県での友達の結婚式
Jesseが写真を始めたきっかけは、今は亡き親友のAlaniが2009年にRICOHのGRをくれたから。
これは最近よく使うLeica
インタビューの最中、実は別の友達が終わるまで待っててくれたんだけど
インタビューの途中でも待たせてる友達に細かな気遣いをしたりと、ぽつんとしてる人にケアを怠らないJesse。友達が多いのが分かる気がした。
ー 今回の個展のテーマもそうだけど、Jesseの作品って人種差別、別れ、人生で起きた色々な問題とか、いわゆるネガティブな状況を表現しているものも多いよね。
"_Worried" 2022
ネガティブなテーマを公に表現するのを避ける人も多いけど、Jesseはあえてネガティブな感情を世間に向けて表現し続けているのはなぜ?
素晴らしいアーティストは、自分の一部を他人に与えてる(GIVE)と思うから。
初めは本からそういう考えを知ったんだけど、実際に自分が大きく変わったのはアートを人に買ってもらうようになってから。自分のパーソナルな部分を人にあげるのって大事だなと思うようになった。
以前は僕もネガティブな感情を表現することに躊躇していたんだけど、ずっと作っていたコラージュ作品が変化のきっかけになった。これまで誰にも見せずに作っていたコラージュを人に見せるようになったら、2020年にコロラドとワシントンにある2つのギャラリーに常設展示に選ばれたんだ。それが僕にとってとても大きな出来事だった。
それからは何かが吹っ切れた。
"Underground Railroad" 2021
ー 感情を表現することのメリットは?
セラピー。問題を乗り越えて、前に進むきっかけになる。
例えば子どもの頃に辛い出来事があったんだけど、それをテーマにコラージュにしたら、なんか気持ちがラクになって。
その後、コラージュ作品を見て「そんなことがあったなんて知らなかった」と言ってくれる人が現れたりもしたよ。
ここ3年くらいで特に自分の感情を表現するのに慣れた気がする。
人種差別、子どもの頃の記憶や人生の問題とか、コロナ禍からの3年間は自分の内面をかなり表現してやりきった感じがあるから、次は野球のテーマで作品を作りたいと思ってるよ。方向性を変えて新しいチャレンジをしてみるつもり。
"Capitalism?" 2020
ー 私の個人的な経験では(プライベートでも仕事でも)、日本の30代以降の男性って本当の感情を表現するのが苦手な人が多い印象で。特にネガティブなことになると黙り込んじゃう人も多くて、感情を小出しにするという選択肢がないことも。
Jesseも同じ30代だけど、彼らとの違いは何だと思う?
変化を起こそうとしてることかな。
日本の人はあまり変化が必要じゃないことが多いよね。それか社会的な役割が決められていて、それに従っているとか。
自分ではない何者かになりたいわけじゃないんだけど、何か変化を起こしたいという気持ちはあるよ。ただ、自分らしくないことをするのはダサいよね。
ちなみに日本の人は静かで好き。アメリカ人は喋りすぎるから(笑)。考える隙がない。
ー 生花は10年以上続けて師範になったし、写真や動画撮影の他にもコラージュ、最近はキルト作りも始めたね。
好きな読書で作家主義*注 を知ってから、映画を解体的に捉えるようになった。それがきっかけで、表現したいものを違う表現手段に落としこんで意味を重ねるアート作品を作るようになった。
*注 作家主義とは:美術、音楽、文学は作家個人の表現物であるように、映画も映画監督(作家)個人の表現手段とみなすべきという考え。
10年以上続けている生花は草月流の師範の資格を取った
写真、動画、生花、コラージュの他にもキルト…と表現の手段がどんどん増えてるけど、Jesseが表現を続けるのはなぜ?
好奇心。
目に入るもの、何にでも好奇心があるんだ。理解したいと思ってる。
例えば、目の前にあるビール瓶だったら、瓶の形を見て写真にしたらどんな構図になるかなとか考える。そうやって好奇心の接点が増えていく。
いつも次の表現(作品)にどう活かせるかと考えてるよ。
作品作りを続ける理由は、僕自身に注目してほしいわけじゃなく、自分の足跡を残したいから。逆に自分のことばかり注目してほしいというのは安っぽく感じる。
自分のことはどうでもよくても、アートにすべてを注ぎたい。
Quilt 56"×56"
写真や動画、生花、コラージュ…と表現手段を増やしているのは、いろんなことに好奇心がつきないのと、沢山のアイディアが湧いてくるから。
正直なところ、ひとつひとつの表現手段に満足してるわけじゃないんだ。いつも何か足りない気がしているし…。
でも次々にアイディアは湧くから、表現手段を増せば公に表現するチャンスが増える。だから手段を増やすのは好きだよ。何かアイディアが湧いて、表現したい時にいつでも表現できる感じがしてる。ひとつの手段に執着するよりも、チャンスが巡ってくるのにスピード感がある。
すべての表現手段に強みと弱みがあるから、ミックスしたり分解したり、どうしたらより良い表現ができるのか考えるのも楽しいよ。
考えるのが好きで四六時中、どうやったらアートとして表現できるか考えてるんだ。
キルトの制作風景
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Jesseの故郷 ボルチモアは全米でもTop3~4に入るほど治安が悪いと言われていて、ドアに背を向けて座らない方が言われているほど。(銃を持った人がいつ入ってくるかわからないから)
治安の悪さは住む人の貧しさとも結びついていて、住み続けることへの苦労も想像に難くない。そんな土地では身の安全を守るのに必死で、アートどころじゃない人が多いと思う。
Black Lives Matter
というわけで、平和に自分の表現を続けられる日本での暮らしが大好きなJesse。
with HARA
愛犬HARA(ハラ)の名前は、Jesseが大尊敬する小津安二郎監督の映画に出てくるヒロインの原節子さんにちなんでつけた。
原節子さん主演映画 「晩春」by 小津安二郎監督
実は、今回のインタビューは小津監督が映画撮影の舞台として使った 茅ヶ崎館 で行いました!感動〜!!
自分が気に入った土地で好きな表現活動を続けるJesse。
これからも頑張ってね〜🥳🥳🥳
Jesseがsiesta magazineのために作ってくれたミニプレイリスト😊🎶
Photos & Playlist by Jesse Freeman (@jesselfreeman)
Special thanks 🤝✨ @unoyoshihiko
Interview by Natsuko