いつから和風はダサい、洋風はカッコいいとなったんだろう。
最近、日本の古道具がめっちゃ気になってます。
というわけで、近所のおばあちゃんがやってる骨董屋さんに通い始めました。
近所のおばあちゃんのお店
顔を覚えてもらって3回目には、まだ買い物もしないうちから「他のお客さんに見えないところで」3種類の飲み物が出てきて、好きなのを選んでいいってことでした。
こういうのは、以前私が働いていたフランスのラグジュアリーブランドなら、VIP客だけにする接客。おばあちゃんのお店では、まだ全然高い買い物してないんだけど 笑。

zines tourで買ったzineと一緒に並べてみた
写真は先日見つけた、備前焼の一輪挿しと湯冷まし。
一輪挿しは、すんごく細い1本しか刺せなさそうだし
湯冷ましは、お茶を美味しく飲むために、急須に入れる前のお湯を冷ますだけの器。
どちらも、最近の日常生活では実用性はほぼないけど、西洋文化にどっぷり浸かった後にこれらを見ると、存在がラグジュアリー。
というのも、実用性を問わないのがラグジュアリーだから。そういう世界線で生きてる人のためのもの。
だけど、現在の日本では、こうした器は安く値付けされがちで。質も技術も素晴らしいのに、居場所が悪いとしか思えない。
西洋の資本主義に上書きされるのではなく、和のものも並列的に今の暮らしに溶け込めないのかな。
資本主義的な視点で街や人を見ると、和風は西洋文化に上書きされて、なんだか肩身狭そうにしているような。

ディスプレイ研究中
調べれば調べるほど奥深い日本文化は、海外に関わる仕事をずっと続けてきた私にとても新鮮に映ります。
西洋文化の華やかで便利なところ、日本文化の内向きでちょっと面倒なところ。それらを総合すると、控えめに言っても、日本の文化は資本主義に負けてると思う。
その結果、今、日本の伝統文化では後継ぎが足りず、風前のともしびに。言い換えると、西洋がリードする資本主義の評価システムにうまくはまらず、本質的な質とか豊かさが見逃されていると思うんです。
ずっと気になってた、日本のいいものと海外との関係。最近は、和のプロダクトを海外に訴求するブランディングの仕事もしているのもあって、私なりに色々と研究中。
買い物を終えておばあちゃんのお店を出る時、表向きにはこれから夏休みに入るけど、電話をくれたらお店に入れる、と言われました。
表と裏、内と外。表に出ていないことが多い日本文化。一筋縄ではいかないこの文化の探求で、古道具が、今まで開け方がわからなかった新しい扉を開いてくれるような気がするんです。
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📚最近のおすすめ本 📚
📚陰翳礼讃 谷崎潤一郎著
陰翳によって生かされる美が日本の伝統美であると説き、西洋文化に流され失われつつある景色を嘆く随筆。いまも世界中で読まれている谷崎さんの代表作で、紙、厠、器、食、衣服、文学、旅など日本の伝統を独自の目線でひも解いていく。
📚生紙と紙糸 Japanese Handmade Paper and Paper Thread 軽野裕子著
世界的にみても、日本は紙が豊かな国。その背景には、和紙の長い歴史と伝統があります。紙でできた糸「紙糸(かみいと)」で織られた「紙布(しふ)」の魅力にひかれた、カナダ・トロント在住の軽野さん。海外の人にもわかるように紙糸づくりについて背景の文化も丁寧に解説した本。
紙布は、庶民の衣類や仕事着として開発されたのが始まりらしいのですが、時を経た現代では、洗練された伝統工芸として、アート的な価値も見出されています。
この分野で初めて二ヵ国語で書かれたこの本は、世界的にみても珍しいこの伝統技法を後世に伝えたい、という著者の熱意に満ちあふれています。
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