ある晴れた日曜、かたちを探しに散歩にきました。
satw.jp / 佐藤敦
建築を起点に、家具やデザイン、アートへ。
モノだけでなく、その先にある空間や風景までをデザインする。
一級建築士、アーティスト。東京出身
毎日どこかへ1時間ほど散歩する。
歩きながら目にした風景にかたちを見つけて、自分のかたちをつくる。

東京出身の彼は、6年前に引っ越してきた浅草に何かを見つけた。
隅田川のまわりに広がる、江戸から続く下町。現代的な都市計画で管理されたキラキラとはまた違う、手触りのあるリアルな生活を感じられる街並み。
特に、川沿いの水辺を歩くのが気に入っているらしい。
波の揺らぎ。色が混じり、季節や天気によって表情を変える水面。曇りの日は鉄っぽい感じがするという。

直線的な都会のビル群と情緒あふれる下町をつなぐ橋。
対照的な景色の間を、歩いて行き来する。
そうして見えてきたかたちを、家具や立体デザインに落とし込む。
佐藤さんがつくるかたちは、硬い素材でできているのに雲のようなやわらかな曲線が対照的。
なぜかたちを作るのか、と尋ねると
「コミュニケーションのツールとして」と話す。

すぐにはまとまらない言葉の代わりに、かたちを作る。
それを見つけてくれた誰かが、自然と何かを始めてくれるから。
だから、佐藤さんがつくるかたちに「こうあるべき」というゴールはなくて
見つけた人が好きなように扱ってくれればいいという。
「かたちが完成した時に、僕の表現は終わっているから。その後は手に取ってくれた人の時間。」

そういえば、私が彼と知り合ったのも、野外に置かれていたこのかたちがきっかけだった。
建築ではできない表現のかたちを探して、彼がたどり着いたのが家具や立体デザインというかたち。それは日々の暮らしに入り込む、もっと距離の近い存在でもある。

私たちが散歩したその日は、春らしい陽気で、小学校に綺麗な花が咲き始めていた。
実は、この街には少し陰影やざらつきもある。リアルな人間模様や、少しはみ出した生活。そしてお互いを支え合う江戸から続く下町人情も。いわゆる都会的な背伸びのキラキラだけではない、表情ゆたかな手触りのある風景が、佐藤さんは気に入っているという。

散歩の途中で立ち寄った、大根をお供えするお寺。本堂のとなりで、神様の「お下がり」が受け取れる。

散歩をすると、動き出したカラダと一緒に、固まっていた思考が回転しはじめる感じがするという。
だから、彼は今日も街を歩く。
Walked with @satw.jp
Selected images courtesy of Atsushi Sato
Written by Natsuko
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