1972
1972年。
今より、物事がずっとシンプルで
根拠なく前向きなムードが漂っていた時代。
70年代のムード 🥳🎶
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スーツケースは重くて小さい。
荷物はあまり入らない。車輪や気の利いたポケットもない。
デザインは素敵、でも不便なことが多い。
パーソナルなコンピューター、個人が所有するパソコンもないので
あらゆるものが手書きや手作業でできていた。
ひとつひとつに時間がかかる。でも、どことなく温かみや個性がある。
携帯もないので、旅先での自分の居場所は勘でつかむ。
人間が本来持っている、野生の能力が問われる。
1972年。
第二次世界大戦後からずっと固定されていた為替レート。
1973年を迎えるまで、今のように変動することはなかった。
1972年。
1ドルが300円以上、現在の倍近い円安で
さらに格安航空という概念が生まれる前の時代。
利用者の少なさ × 円安で、航空券はとても高価なもので
個人の海外旅行は一般的ではなかった。
1972年。
インターネットも存在せず、
島国を出て、海外に行ったことのある日本人がすごく少ない時代。
当時の英語教育はどんなものだったのか、質もあやしい。
1972年。
海外に用事がある人が少ない時代。
国際電話も高額だし、そもそも英語なんて話せない。
そんな時代に、あふれんばかりの希望を胸に
「見たことのない世界を、自分の目で見たい!」と日本を飛び出した男女がいた。
職業は、普通の会社員。
給料は普通。
ただ、誰よりも前向きで、根拠のない希望があった。
1975年。
初めてのヨーロッパ。航空券は、手書きだった。
日本を出発する時は、泊まる宿も乗る電車も決めていなかった。
気の向くままに。
そして、2人の人生の長い旅が始まった。